東大100%子会社の社会人教育、受講価格約75万円は妥当か

 東京大学100%子会社の東京大学エクステンション(東京都文京区、堀本勝敬社長、03・3215・8021)は、事業第1弾として企業向けの「データサイエンススクール」を4月に開講する。ビジネスと技術、管理者と実務者で計4コースをそろえ、技術実務者コースは演習を含め計55時間、74万3000円(消費税抜き)とした。人工知能(AI)など次のスクールの設計も進めている。  講座は4タイプ別に、週1回3時間で定員50人を基本に開講する。経営者やコンサルタント向けは計6時間で8万円弱。経営企画や営業・マーケティング担当者には22時間で27万円強。技術・開発マネジメント担当者は12時間で16万円弱。最も充実した研究・開発者やプログラマー向けでは、「統計学」3講座に加え、「情報倫理」「機械学習」「最適化」の8講座を用意した。講座単体の受講も可能だ。  講師は東大の情報理工学系研究科の教員らが務める。教室は同社が移転予定の大手町ビル(東京都千代田区)だ。  同社は指定国立大学でのみ可能な、大学の研究成果を生かした企業・社会人向け再教育やコンサルティングの事業会社だ。初年度延べ1000人の受講を想定。3年後には売り上げ10億円を目指す。 日刊工業新聞2019年2月15日  ITとビジネスの融合、データサイエンスなど、産業界の基礎・基盤となる新テーマでの社会人教育が始まった。京都大学や東京大学の取り組みは、大学が企業から資金を得る新たな方策としても注目される。  京都大学はITとビジネスを掛け合わせた「情報学ビジネス実践講座」を、協力企業6社との連携で立ち上げた。学内部局も企業も複数が参加し、学生の教育と社会人の人材育成を手がける「産学共同講座」という独自制度で、第1号となる。  4月からの本格稼働で、各社は実践的なITビジネスの教材を提供する。ANAシステムズ(航空機運航システム)、NTTデータ(システム全般)、DMG森精機(モノのインターネットなどによる高度な工作機械)、東京海上日動火災保険(保険代理店システム)、NEC(人工知能やビッグデータによるサービス開発)、日本総合研究所(これらの教材化のまとめ役)という顔ぶれだ。  阿曽沼慎司京大理事は「社会のインフラを大学が作る意識だ」と説明する。この活動に各社は年500万円、計3000万円を京大に提供するという。  一方、東京大学が4月から始める社会人教育はデータサイエンスだ。主体は東大100%子会社「東京大学エクステンション」。これは研究・教育・社会貢献で世界トップレベルの「指定国立大学」でのみ認められた、研究成果を活用した社会人の人材育成や企業へのコンサルティングをする事業会社の一つだ。東京・大手町に専用教室を開設し、初年度で受講生は延べ1000人、3年後に売上高10億円を目指す。  大量のデータから意味のある情報を抽出し活用するデータサイエンスには、あらゆる業界・業種が注目する。時間をかけた基礎の大学教育も、応用に向けた企業内教育も、単独では間に合わない。同大大学院情報理工学系研究科の石川正俊研究科長は「学生と社会人の教育をともに進める“同時教育”の時代に入った」とみる。一部の分野やニーズ向けとは異なる、本格的な社会人教育が走りだした。

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