規制緩和で始まった国立大の資産運用、大学関係者が気にすること

「リスクがあるから手を出さない」では何も変わらない

 国立大学の規制緩和で、寄付金などの資産運用が始まった。国の支援減を補う自助努力だが、リスクも伴う。慎重に進める一方で、自ら努力する学内の意識改革や卒業生による支援でプラス効果を引き出してほしい。  国立大の余裕金を金融商品で運用することは従来、元本保証の国債などに限られていた。規制緩和では、元本保証でなくても「原資は寄付金」「資金運用の規定や運用管理委員会の体制を整備」という条件で可能となった。寄付金集めは多くの国立大が強化に動いており、これと連動した例が増える見込みだ。  例えば、医学部を持つ中規模総合大学の長崎大は、奨学寄付金の出入りが各年約10億円、余裕金は約40億円。うち2億円を使って社債を購入した。一方使用目的を絞らない基金を設立、遺言による寄付「遺贈」で二つの信託銀行と契約した。資金運用の体制は弘前大学、九州大学など10大学近くが整えている。  関係者が気にするのは、マイナスが出ないかどうかだ。投資信託など1商品の短期のマイナスは許容だが、トータルのマイナスは論外という声が強いようだ。私立大学の学校法人で、2008年のリーマン・ショックで金融資産価値が大幅減になった例もある。ただ、投資というだけで嫌悪感を示す教職員がいる、というのはどうかと思う。  そこで提案したいのは、これらに詳しい卒業生や経営協議会委員などが、積極的に関わっていくことだ。実際、文部科学省が認定する体制の多くは「2年以上の資金運用業務の経験者と、同窓会会員か寄付者の学外委員」が必須としている。  寄付は同窓会と結びつきが深い。医学部・病院がない小規模大学は寄付が少ないが、教員養成系大学では付属学校卒業生の愛校心が強力だとも聞く。大学のステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーションを高めるチャンスだ。  「リスクがあるから手を出さない」では何も変わらない。資産運用は特に、教員でなく職員が活躍する点も注目だ。国立大にふさわしい工夫と活動を重ねていってほしい。 (文=山本佳世子)

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