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最高デジタル責任者を置いた三井物産、次は「場所」

AI・IoT意見交換スペース開設、外部にも解放開設
最高デジタル責任者を置いた三井物産、次は「場所」

(写真はイメージ)

 三井物産は人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)による既存事業の成長や新規ビジネスの創出を目指し、意見交換するスペース「d・space(dスペース)」を4日に開設した。

 IT関連の担当者が常駐し、新規事業のアイデアや既存事業の問題点などを吸い上げるなど、横断的なコミュニケーションを拡大。2018年度中には外部企業も出入りできるようにし、交流の範囲を拡大。新規性の高いビジネスモデルやソリューションの創出を促す。

 dスペースは、三井物産のICT事業本部やコーポレート部門のIT事業部など、IT関連の担当者が3人程度常駐する。各事業部門の社員が、新規事業のアイデアや既存事業の課題などを持ち込み、担当者は必要に応じて、社内外の有識者をアレンジ。dスペースで議論を深め、新規事業のアイデアやソリューションの具現化につなげる。2―3カ月後をめどに、外部の企業なども出入りできるようにして、コミュニケーションの範囲を広げることで、交流を活発化する。

 三井物産は5月にグループ全体でAIやIoTを活用する役職「最高デジタル責任者(CDO)」を設置した。また、併せて、各事業部門から数人ずつが参加し、AIやIoTの活用を促進する、

 部門横断的なデジタルチームを組成。現在、デジタルチームを中心に、20―30件のアイデアを基に事業化や実用化に向けた実証実験などを進めている。三井物産ではこうした動きをさらに拡大するため、dスペースを設け、デジタルトランスフォーメーションを加速する。
日刊工業新聞2018年1月4日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
 CDOを配して全社のそれぞれの事業部門から課題とニーズを引き出して、グループ内外の技術やリソースとマッチングする取り組みを、大手商社でもオフィシャルにやり始めた。本来は商社の機能として内包しているべき機能だと思うが、デジタル時代、IoT時代には細分化された事業部門をまたがって繋がるビジネスモデルが必要で、その横串機能を果たすことになるだろう。是非できるだけ早期に社外グループ外にもオープンにして頂き、商社こそがオープンイノベーションの旗手であることをリードしていただきたいものだ。

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