65社から76人が選抜されたサイバーセキュリティー人材のプロ候補

IPA「1年間にわたり、みっちりと教育する」

 情報処理推進機構(IPA)は、2013―17年度の5カ年中期計画の総仕上げに入る。4月に創設された「情報処理安全確保支援士(支援士)」制度や、電力などの重要インフラを守る「産業サイバーセキュリティセンター」の中核を担うセキュリティー人材の育成に力を注ぐ。併せて所轄の経済産業省と連携して、地方版IoT(モノのインターネット)推進ラボの全国展開や、若手IT人材の発掘で実績を持つ未踏プロジェクトによる起業支援も本格化する。  情報処理安全確保支援士は更新制であり、資格取得後も毎年のオンライン講習や、3年ごとに1回の集合講習が必要。IPAは試験機関としての役割に加え、講習も行う。  一方、産業サイバーセキュリティセンターは経産省の重要施策としてIPA内に発足しており、7月から1年間にわたる教育講座がスタートした。同センターでは模擬プラントを用いた演習や最新のサイバー攻撃情報の調査・分析などを通じて、サイバーセキュリティーリスクに対応する人材や技術を生み出していく。  このほか、若手セキュリティー人材の発掘・育成を目的に「セキュリティキャンプ全国大会」を毎年8月に合宿形式で行っており、17年は82人に拡大した。今後は地方向けのミニキャンプで、地域のイベントとの連携も図る。  併せてIT活用による地方の活性化にも力を注ぐ。地方版IoT推進ラボは過去2回にわたり、県や市町村など計53地域で実践済み。現在は3回目の地域を選定中。  各事業は個別に展開しているが、新中計の策定に向けて、実行レベルで全体が円滑に連携できる体制を目指す。  ―現行の中計の状況は。  「セキュリティーへの関心が高まる中で、情報処理安全確保支援士の創設などで、新しい仕事が次々と始まった。産業サイバーセキュリティセンターも立ち上がり、教育講座も始まった。30代後半を中心に、65社から76人が選抜された。1年間にわたり、みっちりと教育する」  ―新中計に向けた考え方は。  「これまでやってきたことを続けることが大事だ。中核はセキュリティー。このほか、ソフトウエアの信頼性を上げることや人材育成が大きな柱となる。また、直近では『AI白書』を発刊した。このように新しい動向をタイムリーに示すことには意義がある。そうした意味で、シンクタンク的な部隊を作りたいという思いもある」  ―セキュリティー人材の不足が叫ばれています。  「どういう人材が不足しているか明らかにすることが必要だ。その指針として、IT人材育成のフレームワーク『iコンピテンシ・ディクショナリ』を推奨している。セキュリティー人材のみならず、業務ごとのスキルセットが規定されれば客観的な評価が可能となる。例えば人材が流動化しても、給料の価値なども担保される。IT業界からユーザー側へと広く人材が流動化することで、日本の活性化につながると考えている」  ―現行の中計は残り半年ですね。  「次の中計に向けて、新しいことも試行していく。未踏プロジェクトでは25歳の年齢制限をなくし、新たに未踏アドバンスト事業を立ち上げ、6件・20人を採択した。起業を後押しするため、未踏OB会などとも緩やかに連携できるコミュニティーを作りたい」 (聞き手=斎藤実)

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