ニュースイッチ

今期の売上高見通し「ゼロ」、窪田製薬に打開策はあるか

窪田会長兼社長に聞く「スターガルト病、開発に成功すればチャンス」
今期の売上高見通し「ゼロ」、窪田製薬に打開策はあるか

窪田製薬ホールディングスの窪田会長兼社長

 眼疾患領域の医薬品開発を手がける窪田製薬ホールディングスは、2017年12月期に売上高ゼロを見通す。期待していた治療薬候補の臨床試験で期待した結果が出ず、16年6月に共同研究相手の大塚製薬との提携が終了したことが大きく響いている。商業販売を承認された製品もなく、創業から数年は売り上げが立たないことが多い創薬ベンチャーながら打開策が必要な状況だ。窪田良会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)に経営を軌道に乗せる戦略を聞いた。

 ―大塚製薬との契約解除から1年です。
 「大変残念だがこれまでに莫大(ばくだい)な資金を注いでもらい感謝してもしきれない。大規模な臨床試験を実施したことで治療薬候補『エミクススタト塩酸塩』の安全性を検証できた」

 ―製品販売による収益が見込めない中、どのように成長軌道へ転換させますか。
 「エミクススタト塩酸塩は安全性の検証を踏まえ、子どもの目の病気であるスターガルト病の研究に生かす。治療法がなく、ニーズもある。開発品にはPOC(有効性と安全性の実証)の目標が2年程度で、開発コストが10億円前後ででき、成功した時の将来市場も期待できるテーマを選んで取り組んでいる」

 ―新規ビジネスとして在宅眼科医療機器の開発を進めています。
 「患者が自分で網膜や視力の変化などを検査できるハンドヘルド(可搬型)機器を19年から20年ごろに製品化したい。米国や欧州など海外市場も視野に入れている。価格は10万円以下にしたい」

 ―眼科以外の疾患領域に進出する考えは。
 「それはない。もちろん研究の中で他の領域に効く薬が出てくれば、外部の会社に導出(開発権や販売権の利用許諾)することになるだろう。少額の投資で収益性の高いプロジェクトに優先して取り組んでいく」
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
スターガルト病は米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けた治療法がないとされ、成功すればチャンスは大きい。一方で開発を加速するためにも、さまざまな製薬会社との協業は欠かせない。並行して進める在宅眼科医療機器を早期に製品化し、収益源の多角化を図りたい。 (日刊工業新聞第ニ産業部・浅海宏規)

編集部のおすすめ