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成長の柱は「エネルギー」と「防衛」、三菱重工新社長が重視すること

成長の柱は「エネルギー」と「防衛」、三菱重工新社長が重視すること

握手する伊藤次期社長(左)と泉沢社長

三菱重工業は2025年4月1日付で伊藤栄作常務執行役員が社長に就任する人事を内定した。最高技術責任者(CTO)として幅広い技術分野の見識を持つ伊藤氏の下、エネルギー、防衛事業を成長戦略の柱として26年度目標の売上高5兆7000億円超(23年度実績は約4兆7000億円)の必達を目指す。

伊藤氏は主に研究所でガスタービンの研究開発に携わり、重視するのは「スピード」「先を読む力」。最近ではデジタルイノベーション本部を立ち上げ、人工知能(AI)やデジタル技術の活用を推進。多くの課題解決を実現してきた。

三菱重工の強みを「多様な人材、技術、製品。変化の大きな時代には、たくさんのピースを持ち、それを賢くつなぐことで大きな価値を短時間で実現できる」と指摘。成長・伸長分野を明確化したポートフォリオ経営を深化させる一方、コングロマリット(複合企業)の力を最大化する構えだ。

今後については「旺盛な受注を頂いている。しっかり顧客に届ける事業体制とバリューチェーンを構築することが喫緊の課題」とした上で「デジタル技術を最大限に活用し、従来の枠にとらわれない新しい取り組みを進める」と語る。

素顔/三菱重工業社長に就任する伊藤栄作(いとう・えいさく)氏、人間味ある優秀な技術者

 「人間味があり、人としても技術者としても優れている」。泉沢清次社長は伊藤氏をこう評する。かつて共に業務に当たった経験を引き合いに出しつつ、「決めたらまっすぐ行くところがある。心の強さと技術的な確かさを感じた」と信頼を語る。

伊藤氏は「ガスタービンの開発がしたくて三菱重工業に入社した」。入社以来、ガスタービンの研究に携わり、世界屈指の製品・事業に成長する過程を経験。最高技術責任者(CTO)として研究開発を率いる際の考え方の原点になった。

CTO就任以降も社員とのコミュニケーションを大切にしつつ、スピード感ある研究開発体制を構築してきた。製品開発過程での課題解決に向けた粘り強さとリーダーシップは社内で評価されている。

趣味はスポーツ観戦や囲碁。健康のため規則正しい生活や適度な運動を心がけており、休日は水泳や映画鑑賞をして過ごす。座右の銘は「雑草のごとく」。(八家宏太)


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日刊工業新聞 2024年12月19日

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