生産量倍増へ…三菱重工航空エンジン、燃焼器組み立てに自動化技術
三菱重工航空エンジン(愛知県小牧市、牛田正紀社長)は、年内にも長崎工場(長崎市)に航空機エンジン「PW1100G―JM」用燃焼器の生産ラインに組み立て自動化技術を導入する。世界的に航空旅客需要が増す中、自動化で生産能力を強化し将来は同燃焼器の生産量を月産250台に倍増することを目指す。同ラインに自動化技術を採用した事例はないとしており、将来はロボットで全てを組み立てる世界最先端工場を目指す。一方、航空機エンジン事業をめぐっては中・小型機市場の拡大を受け、IHIが23日に成長戦略を公表。民間エンジン事業で2030年度に23年度比1・8倍の売上高4500億円に高める目標を掲げた。
現在、長崎工場におけるPW1100G―JM用燃焼器の生産台数は、新造機搭載用とスペアエンジン用を含めて月120台。2月には燃焼器の増産を目的に長崎工場の建屋を拡張し、生産立ち上げに向けて準備を進めている。
同工場の燃焼器生産ラインには、ロボットによる組み立て自動化技術を一部導入する。順次適用範囲を拡大し「将来はロボットで(燃焼器組み立てを)全部やってもらう」(牛田社長)方針だ。組み立て工程の人員を部品製造などに配置転換することで、燃焼器の増産に対応する。
三菱重工航空エンジンは要素技術を含め、数年かけて自動化技術を開発した。1ライン当たり3台のロボットで構成する。同社によると、航空機エンジンメーカーの燃焼器生産ラインに自動化技術を適応した事例はないという。
PW1100G―JMは国際共同開発として三菱重工業と川崎重工業、IHIが参画する。足元では、搭載される欧エアバス小型機「A320neo」の需要増に伴い、生産量が拡大している。24年4―6月期の出荷台数は前年同期比27%増の165台となっており、今後も拡大基調が見込まれる。
一方、航空機エンジン修理・整備(MRO)事業も航空機部品の需要増を受けて好調に推移する。特に小型機向けエンジン「V2500」やPW1100G―JMなどで需要が拡大。MRO台数は23年の月産5台から同7―8台まで増加している。
三菱重工航空エンジンの25年3月期売上高は設立以来初めて2000億円を超える見通しで、今後も年10%程度の成長率を見込む。
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