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消費電力5割減へ…NTTドコモが25年度本格導入、「仮想化基地局」の利点

消費電力5割減へ…NTTドコモが25年度本格導入、「仮想化基地局」の利点

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NTTドコモは2025年度に仮想化基地局(vRAN)を本格導入する。携帯通信網を構成する無線基地局の機能を機器からソフトウエアに置き換える仮想化技術を採用。従来は特定メーカーの専用機器を用いていたが、仮想化基地局は国内外の複数メーカーの製品を利用できる。こうした複数メーカーの機器やソフトを組み合わせて無線網を構築する「オープンRAN」の導入で総保有コストを従来比最大3割減、基地局の消費電力は同5割減を目指す。

NTTドコモのオープンRANシステム

ドコモは23年9月、富士通の基地局ソフトや、米ウインドリバーのクラウド仮想化基盤などを組み合わせたオープンRANシステムを第5世代通信(5G)商用網に先行導入した。24年2月にはNECの基地局ソフトや、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と米レッドハットのクラウド仮想化基盤などを組み合わせたオープンRANシステムの導入も発表した。ドコモによると、従来型基地局と同等以上の性能が期待できるという。

仮想化基地局はサーバーなどの機器を汎用化でき、新機能の実装もソフトの更新で行える。楽天モバイルは19年10月にオープンRANを用いた仮想化無線網を商用化。KDDIは23年1月に韓国サムスン電子や富士通の協力の下で5G仮想化基地局の商用展開を始めるなど、仮想化技術の導入で携帯通信網に使う製品の調達先が多様化している。

NTTの島田明社長は「vRANについて日本のベンダーが開発を一生懸命やっている。ぜひ日本メーカーの製品が使えることを期待している」と語る。島田社長は送受信アンテナ数を大幅に増やして携帯通信速度を高速化する「マッシブMIMO」技術を用いた通信機器が海外メーカー製しかないため、ドコモが同技術に対応した海外メーカーの製品を選んだと指摘。「国内ベンダーが開発した暁にはしっかり国内製も使う。(ドコモが調達を国内メーカーから)海外メーカーに転換したというのは事実誤認だ」と述べた。

日刊工業新聞 2024年11月7日

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