コンテナ船利用推進へ…国交省、内航船の積載率調査
国土交通省はモーダルシフトを推進するため、内航コンテナ船の積載率を調査し初めて公表した。トップは積載率75―80%の北九州―南九州の上り航路、半面で東東北―北海道の下りと西東北―北陸の上り航路は10―15%と極端に低いケースもあった。阪神から西日本各地や九州域内の積載率が比較的高いが、全体では余裕がある航路も多く、現状でもコンテナ船を利用するモーダルシフトを検討する余地は十分にありそうだ。(編集委員・板崎英士)
調査はコンテナ船事業者に対し、43航路で4―6月の積載率を5ポイント刻みで訪ねた。積載率70%以上が阪神―南九州の上下と北九州―南九州の下りを含めた4航路、50%以上は24航路ある。50%を切る19航路のうち、5航路では30%を下回っていた。
政府は2022年に関係閣僚会議でモーダルシフトの利用促進を決定、これを受け国交省は少ロットで小回りがきくトラックやシャーシ(トレーラーの荷台)輸送の中・長距離フェリーとRORO船について、四半期ごとに積載率を調査し公表してきた。今回から大ロットで長距離の大量輸送に適したコンテナ輸送船についても調査。荷主や物流事業者に一歩進んでモーダルシフトを検討してもらうことが狙いで、今後も定期的に調査する。
国内でコンテナを取り扱う港湾は100以上あり、災害時の物流網確保にも重要な役割を担っている。コンテナ規格は長らく国際(ISO)と国内(JIS)で異なり事業者は二重投資を強いられてきたが、国内もISO化を進めるなどモーダルシフト拡大に向け環境も整いつつある。
4―6月の調査では積載率50%以下の航路は中・長距離フェリーで33%、RORO船では6%しかなく内航コンテナ船よりも総じて積載率は高い。
日刊工業新聞 2024年9月5日