ニュースイッチ

日揮・伊藤忠・関電…CO2輸送に共通仕様、CCS商用化へ協議会

日揮・伊藤忠・関電…CO2輸送に共通仕様、CCS商用化へ協議会

CCSに利用する液化CO2輸送実証船「えくすくぅる」

日揮や石油資源開発など30社余りの企業と経済産業省が、二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)の商用化に向け、CO2輸送技術に関する仕様の共通化で連携する。低コスト化に寄与する船舶でのCO2の大量輸送を早期に実現するため、官民協議会を設立して船に使う機器や貯蔵タンクといった陸上設備の共通仕様を定める。年内をめどに共通化案をとりまとめる見通しだ。

協議会はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に置く。22日にも協議会を立ち上げ、初回会合を開く予定。日揮など2社のほか、伊藤忠商事、関西電力、ENEOS、日本製鉄、太平洋セメント、三菱造船、日本郵船、千代田化工建設、日本CCS調査(東京都千代田区)などが参加。国土交通省や関連団体がオブザーバーとして加わる。

協議会ではCCSサプライチェーン(供給網)に関わる商社や貯留事業者、実証事業者、CO2排出事業者、造船、海運、設備メーカーなどの企業と官公庁が協調して共通仕様案を作成。これを基にCCS事業を進める際のガイドライン(指針)を作成する方針だ。

CO2を回収、濃縮して海底の地下深くに閉じ込めるCCSは、再生可能エネルギーや水素利用が難しい分野の脱炭素化に不可欠とされる。各国で市場が拡大しつつあり、日本は2030年までの商用化を目指している。

収益化にはCO2の分離・回収や輸送にかかるコスト低減が必要で、中でも大量輸送技術の確立が課題の一つ。現在は低温・低圧下でCO2を液化して海外まで長距離輸送するための技術と実証船の開発が行われており、10月から輸送実験を始める予定。26年度までの液化CO2輸送技術の確立を目指す。

一方、船や陸上での荷役業務などに使う機器や設備を各社がバラバラに開発すると、将来の業務運営で支障が出る可能性がある。協議会で一定の共通仕様について議論を詰め、CCSサプライチェーン構築と商用化を効率的に進める。

日刊工業新聞 2024年8月22日

編集部のおすすめ