安価な中国産輸入材が重し…鋼材相場、もち合い続く
中国産の輸入材が国内鋼材相場の重しになっている。メーカーが値上げを表明しているにもかかわらず、安価な輸入材に需要が流れ、店売りの熱延薄板相場、ステンレス冷延薄板相場はともにもち合いが続く。当面、この傾向は続きそうだ。
流通業者によると、熱延薄板は国内材に比べて2割ほど安い中国メーカー製の板が日本市場に多く入ってきているという。中国メーカーは中国内の需要が落ち込む中、アジア各国に輸出を促進し、動きがますます活発になっている。
中国の安価な輸入材によってアジア地域の市況は、低水準で推移している。中でも、中国やアジア地域に比べて高値水準にある日本の鋼材相場は、中国メーカーにとって格好の狙い目と見ているようだ。
ステンレス冷延薄板についても同様に言える。日鉄ステンレスによると、6月に中国から入着した冷延鋼材量は前月比2・5%増の8100トン。「極めて高い水準が続いている」という。中国製の冷延鋼材は国内材に比べて2割ほど安いとみられており、流通業者は「現状の国内相場は多かれ少なかれ、輸入材の影響を受けている」とみている。
メーカー各社は値上げを発表したものの、この先の需要回復を見込めていない。熱延薄板はコスト上昇や人手不足によって中小建設案件に見直しが相次ぎ、伸び悩んでいるという。一方、ステンレス冷延薄板は主力需要先である食品機械向けの低調との声が聞かれる。今後も中国材が国内鋼材相場の動きに影響を及ぼしそうだ。
日刊工業新聞 2024年08月17日