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ミネベアミツミ・ニデック…「電子部品」将来の担い手確保へ、体験イベント活況

ミネベアミツミ・ニデック…「電子部品」将来の担い手確保へ、体験イベント活況

参加者はミネベアミツミ社員からコツを教えてもらいながら、立体パズルを組み立てる

楽しくモノづくり 育て!未来の技術者たち

夏休み中の子どもを対象にした大手電子部品メーカーによる体験イベントが盛況だ。ベアリングを模したパズルの組み立てや、モーターづくりなど内容はさまざま。電子部品はスマートフォンや自動車などに組み込んで使う場合が多く、直接目にする機会は少ない。イベントの開催を通じて“縁の下の力持ち”ともいえる電子部品への関心をいかに子どもたちに高めてもらうか。将来の担い手の確保にもつなげるべく各社は汗を流す。(阿部未沙子、京都・友広志保)

立体パズル組み立て 作ってみよう簡易モーター

できたっ―。多くの企業が集まるブースの一角で、参加者の1人が声を上げた。ミネベアミツミの社員が小学生らを手伝いながら、航空機向けのベアリングを模した立体のパズルを組み立てていく。

日本テレビホールディングスと日テレ共創ラボ KODOMO MIRAI Labが主催の「汐留サマースクール2024」での一コマだ。ミネベアミツミが汐留サマースクールに参加するのは初めてだという。

立体パズルは難易度が異なる3種類を用意した。完成後、参加者は組み立てに要した時間と名前を記入した認定証を記念品としてもらえる。「簡単だと思ったが難しかった」といった声や「途中で崩れてしまったけれど、楽しかった」と笑顔を見せる参加者もいた。

ミネベアミツミはイベントのほか、同社製品を展示する施設「クロステックミュージアム」を通じて、子どもたちにモノづくりの技術に触れられる機会を提供している。「将来的に、モノづくりに携わる人や技術者を増やしたい」(同社)と意気込む。

経済産業省などが公表した2024年版のものづくり白書によると、22年の製造業における新規学卒入職者数は前年比1・9%増の約14万人で微増に転じた。ただ、1000人以上の企業規模の製造業をみると、同18・8%減の約5万8000人だった。

銅線で作ったコイルが回ることを体感

企業規模が大きい大手であっても、若手の採用に苦戦している様子がうかがえる。まずはモノづくりに興味を持ってもらうため、電子部品各社は全国各地で子ども向けの体験教室を開く。

例えば京都。ニデックは京都府の小学生を対象に、モーターづくり体験教室をニデック京都タワー(京都市下京区)で開いた。約90人の子どもが参加した。理科やモノづくりへの興味・理解を深めてもらうことが目的。ネーミングライツ(命名権)を取得し、4月に名称変更したニデック京都タワーでの開催は初めて。

講師を務めたニデック社員が、会社概要やモーターの働きなどについて説明。参加者はニデック製モーターを見ながら、エアコンや自動車など、身の回りの多くの製品にモーターが使われていることを学んだ。その後、乾電池と磁石、銅線を使って簡易的なモーターを製作した。

ニデックの永守重信グローバルグループ代表が小学生の時、モーター製作の授業で面白さを感じたことが、同社創業のきっかけの一つになったという。創業者の原体験を背景にニデックは07年から小学校の出前授業でモーター製作実習を不定期開催している。

段ボール工作に挑戦 体験教室にわくわく

あえて、自社製品とは関わりがない「モノづくり体験」を用意する企業もある。アルプスアルパインは、いわき開発センター(福島県いわき市)で「アルプスアルパイン夏祭り」を開いた。社員の子どもが段ボール工作に挑戦。モノづくりの楽しさを伝えるのが主な狙いで、49人の子どもが参加したという。

アルプスアルパインのモノづくり体験では、段ボールの工作物「飛び出せ海賊くん」を製作

いわき開発センターの社員がスタッフとなり、子どもたちの工作を手伝った。総務部いわき総務課の緑川利光環境・安全衛生チームリーダーは「大分苦労して作っていた子どももいたが、完成すると喜んでいた」と振り返る。また参加者数が定員30人を上回ったことを踏まえ、同課の星隆之課長は「大好評だったといえる」とした。

夏祭りでは段ボール工作の後に職場見学を実施し、親が働く様子や製品を見る機会を設けた。モノづくり体験への参加者は今後も社員の家族を対象にする予定だが「地域の方々にも関われる環境を増やすことができればうれしい」(星課長)とした。

TDKは小学生を対象に電子工作体験教室を開いた

ほかにも、TDKは秋田県内で小学生を対象にした電子工作体験教室を開き、参加者はミニグランドピアノを製作した。今回で32回目の開催だという。また、太陽誘電は高崎市少年科学館(群馬県高崎市)の科学工作教室に協賛し「ものづくり教室」を開いた。

子ども向けのイベントを開くにあたり電子部品各社が共通して持つ思いは「モノづくりに興味を持ってほしい」だ。モノづくりに触れる機会を積極的に提供し、将来的に製造業の担い手を育成できるかが試される。


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日刊工業新聞 2024年8月14日

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