「エネルギーの極小化」…スズキ、車重100kg減の新型車開発へ
スズキの鈴木俊宏社長は17日、都内で会見し、「軽量化技術(の開発)を加速させる」方針を示した。今後3年間で先行開発し、2030年代初頭に市場投入する新型車で、車重を現行車比100キログラム軽量化した車の投入を目指す。軽量化により製造時と走行時の二酸化炭素(CO2)排出量に加え、必要な資源も減らし「エネルギーの極小化」(鈴木社長)で脱炭素に挑む。高効率なエンジンを組み合わせた新型ハイブリッドシステムの開発も示唆した。
軽く安全な車体を開発するため、ユニットごとの部分最適になっていた体制を改め、車の全体最適で走行・製造エネルギーの極小化を目指すプロジェクト「Sライト」を発足。溶接箇所の見直しや発泡樹脂技術の活用で使用する樹脂量を減らすなど軽さを追求する。
複数いる技術本部長のうち1人を軽量化の最適解を見つけ出す責任者に指名する。「軽量化には各部署の譲り合いが必要」(加藤勝弘取締役専務役員)として、全体最適に取り組む機運を醸成する。
少ないエネルギーで車を走らせるパワートレーン(駆動装置)技術として、次世代ハイブリッドシステム「スーパーエネチャージ」も開発中だ。他社製のモーター内蔵モジュールに比べモジュール幅を半減させ、小型・軽量化。ベルト駆動システムからギア駆動システムに機構を変え、回生量向上を目指す。
鈴木社長は「電動車はお金を頂ける大型車から普及している」とした上で、「小さい車では走行距離など使い方を突き詰めて、顧客が賢い選択ができるよう選択肢を広げることが必要。どんな車作りができるか挑戦したい」と強調した。
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日刊工業新聞 2024年7月18日