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大同メタルが60億円で新工場、風力発電市場に参入する背景

大同メタル工業は風力発電市場に参入する。このほど欧州で洋上風力発電機の主軸に使うすべり軸受の供給契約を結び、60億円を投じてチェコに新工場を建設することを決めた。2025年の生産開始を予定する。主力の自動車エンジン用すべり軸受は今後、電気自動車(EV)の普及で需要減が予測される。成長が見込まれる風力発電向けを開拓し、次世代の収益の柱に育てる。

新工場は生産子会社「大同メタルチェコ」内に建てる。建屋面積は約1万平方メートルで、すでに基礎工事を始めた。25年以降、まずはタービン200基分の軸受を生産、出荷する計画で、約30億円の売り上げを見込む。生産能力は2・5倍まで拡張できるという。大同メタルの風力発電用すべり軸受は長寿命や低い維持管理コストが特徴。洋上から陸上も含めて市場を開拓し、35年に200億―300億円の売り上げを目指す。

風力発電機は発電容量の拡大に向け大型化が進んでいる。現在は主軸に転がり軸受が使われているが、転がり軸受は大型化が難しい。また直径2―3メートルの主軸から取り外す際に大型クレーンなどが必要で、維持管理に莫大(ばくだい)な費用と期間がかかるといった課題がある。

大同メタルの風力発電用すべり軸受は円形を分割した複数のパーツで構成しており、分解が可能。補修時の運搬が従来よりも容易なほか、故障部分のみを交換するなど、維持費用の低減が見込める。またパーツの数を変えることで発電機の大型化にも対応しやすい。今回は火力・水力発電機向けのノウハウも応用し、大型化や軸受表面の樹脂を改良するなどして採用を決めた。風力発電ですべり軸受が使われるのは、初めてだという。

風力発電機用すべり軸受(イメージ)
日刊工業新聞 2023年05月10日

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