コベルコ建機はインド工場（アンドラ・プラディッシュ州）を、中国工場と並ぶグローバル生産拠点として育成する。年間の製缶能力を従来比約６割増の４７００トンに増やしたほか、インド市場向けに７トンクラスのショベルを月内に投入する。２０トンなど他のショベルと合わせて、２０２４年度に販売台数で２３００台（２３年度は２０００台弱）を目指す。また、インド工場で組み立て・生産したショベルのアフリカ諸国への輸出も始める。

コベルコ建機は２０トンから３０トン、５０トン、８５トンなどの中大型ショベルを得意とする。インドでは現在、石炭鉱山向けの需要が伸びている。

月内に市場投入する７トンクラスは小型機ショベルだが、既存の中大型機種と合わせた幅広い品ぞろえで新規ユーザーを取り込むと同時に、バックホーローダーの置き換え需要も狙う。バックホーローダーは車体前部にバケット、後部にショベル機構を備え、多くの工事現場で使われている。

同社は海外ではインド以外に中国工場とタイ工場を持つが、中国は地政学リスクや米中対立による分断リスクがあるため、インド工場のシフトと強化を進めている。従来から現地での技術指導に力を入れており、「社内の溶接コンテストで日本人より上位を取る選手も増えてきた」（西田吉男執行役員生産本部長兼調達部長）という。

また、インドと日本でコストメリットが高い部品が異なるため、設計図面もインド仕様のものに作り直したりしてコスト競争力強化に取り組んでいる。「日本も円安だが、インドのルピー安も続いているため、為替状況などにより弾力的に使い分ける」（同）方針だ。