南海トラフいち早く検知…防災科研、「地震・津波観測沖合システム」試験運用へ
防災科学技術研究所は18日、南海トラフ海底地震津波観測網(N―net)の沖合システムの整備を完了し、7月から試験運用を始めると発表した。N―netの整備で、従来よりも津波は最大約20分、地震は約20秒早く検知できるようになる。観測データは気象庁に提供されて緊急地震速報や津波情報に活用するだけでなく、今秋にもウエブ上で一般公開する。沿岸システムの敷設工事も進めており、2024年度末にN―net全体の整備が完了する。
地震や津波の機構解明、予測精度の向上など、防災科学技術の発展を目指す。
N―net事業では、南海トラフ地震の想定震源域で観測網が設置されていない高知県沖から宮崎県東部沖合の日向灘にかけてケーブル式の海底地震津波観測システムの整備を進めている。地震計や水圧計が組み込まれた観測装置を海底ケーブルでつなぎ、観測したデータを陸上局を通じて防災科研のデータセンターに伝送する仕組み。設置により地震の揺れや津波を従来より早く直接検知できるようになり、南海トラフ巨大地震発生時の被害軽減につながる。
日刊工業新聞 2024年6月19日