航空需要回復…JAL・ANA、グラハン人材の採用加速
航空大手が空港で航空機誘導などを行う地上支援業務(グランドハンドリング)分野の人材採用を拡大している。ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)は、2023年度にそれぞれグループで400人超を採用した。JALはこのうち約90人について特定技能制度を活用して外国人材を採用した。人手不足が進む中、新卒・通年採用以外の方法も駆使して採用を強化する。(梶原洵子)
ANAHDはグループ11社での採用数を22年度の約90人から23年度には約460人と約5倍に拡大した。24年度は現在採用活動中で非公表だが、「25年度以降も引き続き積極的な採用を検討している」(同社)という。JALはJALグランドサービス(JGS、東京都大田区)グループ合計で、23年度に前年度比約1・5倍の約470人を採用し、24年度は約330人の採用を予定する。
両社の採用規模が拡大しているのは、コロナ禍が収束して航空需要が回復しているためだ。足元がピークとみられ、JALは25年度以降は段階的に採用規模は落ち着くという。
新卒採用や通年採用に加え、海外人材の採用や過去に退職した人材のカムバック採用にも力を入れている。JALでは、JGSが19年度から特定技能制度を活用した外国人材の採用計画を開始した。コロナ禍で計画は遅れたが、23年度から新規採用を行い、24年度期首には111人体制となった。“世話役”の配置や日本語教育の無償提供、海外人材支援サイトの立ち上げなど、支援体制も継続的に強化している。
ANAHDもコロナ禍前から語学力を持つ外国人材の採用を強化している。留学生の採用に加え、海外で採用活動を行い日本で雇用する取り組みもある。韓国で実績があり、インドでの採用活動も前向きに進展しているという。また、22年度からグループ各社でカムバック採用を開始。退職時やその後のキャリアを加味して労働条件水準を決めている。航空需要が回復する中、安定した受け入れ体制の構築を進める。