半導体後工程の生産性高める…キヤノンがデータ連携システム開発
キヤノンは半導体製造の後工程において、各製造装置のデータを活用し生産性を高めるシステムの開発に乗り出す。すでに前工程ではデータを用いて改善を繰り返す「フィードバックループ」のシステムで生産性を高めている。生成人工知能(AI)向けなど高性能な半導体は後工程も高度な製造技術が求められるため、同社は後工程でも各工程間のデータ連携が必要になると判断。半導体受託製造(ファウンドリー)などへの導入を目指す。
前工程では同様のシステムが運用されている。フィードバックループは露光やエッチングなど各工程のデータを収集・解析し、一連のデータをオンライン上でつないで改善点などを各製造装置に反映する。これを繰り返して半導体プロセスの最適化を図り、生産性や品質の向上を実現する。
一方、後工程はチップの切り出しなどで、前工程ほど微細な加工が求められず、各工程が独立し、工程間を連携するシステムがなかった。ただ、高性能な半導体では後工程でも製造技術の高度化が要求される見通しだ。
例えば生成AI向けデータセンター(DC)向けのデバイスでは、複数のプロセッサーとメモリーを横方向に密接に接続することで高性能化を進めている。今後、生成AIの旺盛な需要を取り込む形でプロセッサーとメモリーの搭載数が増え、デバイスも複雑になると予想される。このため後工程の露光やボンディングなどの工程でもフィードバックループのシステムを導入し、生産性を高める必要性が高まっている。
キヤノンは後工程向けのi線露光装置で高いシェアを持つ。同装置を軸に他社のダイボンダーや計測装置と連携してシステムを構築し、実用化を目指す。
台湾の調査会社トレンドフォースによると、26年のAIサーバーの市場規模は22年比2・8倍の236万台超と予測する。AIサーバーの普及に伴い高性能な半導体の需要も拡大し、後工程の生産性向上が重要になる見通しだ。
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