キヤノン、リコー、コニカミノルタ…世界最大規模の印刷機展示会で訴求した自動化・高品質化・環境対応
事務機器(OA)各社が人手不足や熟練者の減少などの課題解決に向けた自動化や、さらなる高品質化、環境対応のアピールに力を入れている。独デュッセルドルフで7日に閉幕した世界最大規模の印刷機材展示会「ドルッパ」には、キヤノンやリコーなど大手が出展。8年ぶりのリアル開催だったこともあり、各社展示に熱が入った。(新庄悠)
印刷業界では版を使った主流のアナログ印刷から、多品種小ロットなど柔軟に対応でき、版不要で環境負荷が低減できるデジタル印刷への移行が進む。キヤノンが展示したB3サイズ対応のインクジェットデジタル印刷機「varioプリント iX1700」や、リコーのB2サイズ対応の枚葉インクジェットプリンティングシステム「RICOH Pro Z75」はデジタル印刷はもちろん、環境に優しい水性インクを採用しているのも特徴の一つだ。
キヤノンの同印刷機やコニカミノルタのB2サイズ対応インクジェット印刷機「アキュリオジェット60000」は、高速印刷を実現しながらオフセット印刷に迫る高画質も実現。コニカミノルタの植村利隆上席執行役員は「特に欧米の大手メーカーが興味を持って見てくれている」と手応えをつかむ。 人手不足や熟練工の減少を背景に、自動化・省人化、スキルレスなオペレーションが可能な製品の紹介も相次いだ。リコーが目玉展示と位置付けた高速連続用紙インクジェットプリンティングシステム「RICOH Pro VC80000」は、印刷中の画質調整などを自動化し、作業者の業務負担を軽減する。また「乾燥ユニットが肝になっている」(同社担当者)ことで生産性は従来機比約1・5倍に向上させた。
コニカミノルタは仏MGIデジタルテクノロジーとの共同出展で、パッケージ印刷の後工程を自動化する「アルファジェット」を紹介。箔押しなどの後工程は分散しているのが課題だったが、アルファジェットはインクジェット印刷から加飾印刷、後加工を一気通貫で行え、作業員は1人で操作可能という。 オフィスでの印刷需要は漸減傾向だが、商業印刷やパッケージ・ラベル・衣類などへの印刷を行う産業印刷分野は成長が見込まれる。コロナ禍で披露できなかった実機などをあらためて訴求し、確実に需要を取り込めるかが問われる。