リコー・セイコーエプソン…事務機器5社の通期予想、4社増収営業増益も続く試行錯誤
事務機器(OA)5社の2025年3月期(キヤノンは24年12月期)連結業績予想は4社が増収営業増益を見込む。複合機などの在庫適正化が進み業績回復に向かう企業がある一方、人員削減や事業の選択と集中といった構造改革による収益性改善や体質強化を図る企業もあり、各社の試行錯誤は続きそうだ。
リコーとセイコーエプソンは24年3月期までに複合機などの生産や在庫の調整と、それに伴うマイナス影響が解消。キヤノンも24年1―3月期にレンズ交換式カメラや監視カメラなどのネットワークカメラで重くなっていた市中在庫を調整したことで、4―6月期以降は成長基調に転じる。田中稔三副社長は「年間では大幅な増収増益が期待できる」と話す。
ペーパーレス化の加速などで印刷需要は緩やかな縮小が見込まれる中、各社は収益源の多様化や一段のコスト削減、事業の選択と集中にも迫られる。
デジタルサービス企業への変革を進めるリコーは、25年3月期に収益構造変革費用約100億円を計上する。主に、海外人材の成長領域への配置などに伴う流動化コストや7月に設立予定の東芝テックとの共同出資会社の費用に充てる。複合機の開発生産の統合・効率化によるコスト低減に期待を寄せており、25年3月期には新会社効果も寄与する見通し。売上高で500億円程度、営業利益率で5%程度の効果を見込むという。
セイコーエプソンもグローバルで固定費を中心としたコスト削減活動を強化中だ。25年3月期は商業・産業インクジェットプリンター(IJP)を中心に販売増を見込むが「(商業・産業IJPなどの)成長領域で収益性に課題がある」(小川恭範社長)ため、一部で人員削減も始めた。
25年3月期中にグローバルで2400人規模の人員削減を行うコニカミノルタも、構造改革は道半ばだ。24年3月期は5年ぶりに当期損益が黒字転換したものの、25年3月期は前期比で営業利益が半減する見通し。
大幸利充社長は「26年3月期に向けて非重点事業などをきっちり片付けられるかにかかっている」と強調。非重点の遺伝子検査事業の譲渡といった後始末が残ると同時に、センシングや機能材料といったインダストリー事業などを強化し、成長軌道に戻せるかが問われる。