デンソーがソフト人材の技能標準化、業界超えた仕組みでSDV対応
デンソーはソフトウエア技術者のレベルやスキルの標準化に乗り出す。モビリティー開発などに必要な技能を体系化し、その仕組みをデンソーグループだけでなく、自動車業界やソフトウエア業界に広く発信・展開する。さまざまな企業や業界で通用するソフト人材を育成・充実させ、ソフトを更新することで車の価値を高める「ソフトウエア定義車両(SDV)」などデジタル化への対応を後押しする。
企業や業界の枠を超えて客観的にソフト技術者を認定する仕組み「SOMRIE(ソムリエ)」を展開する。2024年度からソムリエのプロモーションを本格化し、デンソー以外の企業にも同じ仕組みの活用を促す。
業界全体で使用可能とし、ソフト技術者の専門性の見える化や、技術者のキャリア形成、企業に足りない人材の把握などにつなげられるようにする。同社では23年12月時点で50人をソムリエに認定している。
20年ごろから社内のソフト技術者のキャリア開発を支援する「キャリア・イノベーション・プログラム(CIP)」を実行。ソフト技術者の能力を把握する「ソムリエ認定制度」など複数のプログラムを展開する。同制度は管理や開発など四つのセグメントと、データサイエンティストやセキュリティースペシャリストなど全18種類の能力を七つのレベルで分類している。世の中の標準に合わせて策定しており、外部展開も違和感なく進められるとみている。
ソフト技術者のスキルを指標化する取り組みは情報処理推進機構(IPA)のITスキル標準(ITSS)などがある。ソムリエでは、より自動車やモビリティーの進化に照準を合わせる。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やSDVなどの潮流に対応し、人やモノ、データが自由に移動できる「モビリティー社会」の実現に貢献する。
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日刊工業新聞 2024年6月13日