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2車両を1人で遠隔監視…京急と東急が共同でバスの自動運転実証

2車両を1人で遠隔監視…京急と東急が共同でバスの自動運転実証

自動運転の実証実験には最高時速19キロメートル、8人乗りの電気自動車(EV)バスを用いる

京浜急行バス(横浜市西区、野村正人社長)と東急バス(東京都目黒区、古川卓社長)、東急は28日、バス業界として初めて、2事業者共同の自動運転の実証実験を開始した。期間は1週間。京急グループ本社(横浜市西区)から遠隔で1人の監視者が別路線を走る2社2台の自動運転バスの運行を管理する。実用化に向け、監視者の負荷や社会受容性を検証する。

対象地域は、横浜市金沢区の能見台地域と川崎市麻生区の虹が丘などの地域で、1周2キロ―3キロメートルを周回する。両地域とも同時期に集中的に開発された住宅地で、今後の高齢化が予想される。運転手不足が進む一方で、車を運転しない高齢者には地域循環バスが重要な移動手段だ。自動運転で解決策を探る。

京急グループ本社内の遠隔監視設備。左のモニターに京浜急行バス、右に東急バスに搭載したカメラからの映像などを表示

京急バスにとって自動運転バスの実証は初めてで、先行する東急バスと協力し運行方法を模索する。京急バスの野村社長は「垣根を越えた取り組みは有意義だ」と語った。東急バスの古川社長は「バスの自動運転は実装段階に入る。さまざまな可能性があり、2社運行もありうる」と語り、今回の実験は問題提起の意義もある。

今回、運転者が周囲を常時監視するレベル2の自動運転で実験するが、限定地域で無人運転が可能なレベル4も見据えて運用方法を検証する。運転者が乗務する形で実用化する場合は自動運転で業務負荷の軽減を図る。

バス車内に運転席を表示するモニターと監視室を表示するモニターを設置し、乗客の自動運転バスに対する理解促進に活用する。

日刊工業新聞 2024年5月30日

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