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JR東・京王・東急…鉄道が出戻り採用拡大、もう一つの効果

鉄道各社が転職のために離職した元社員に、再入社の門戸を開き始めた。2023年に入りJR東日本が1月にウェルカムバック採用、京王電鉄が2月にリジョインプログラムを開始し、多くの企業が続いた。人材の流動化が進む中、各社は再入社人材について即戦力であり、他の社員のエンゲージメント(企業とのつながり)向上につながると期待する。(梶原洵子)

JRや民鉄大手は先行して育児や介護転勤などの理由で離職した元社員の再入社に取り組み、この対象を広げるような形で転職による離職者の採用を進めている。東急はいち早く21年4月にリジョイン制度を始め、「これまでに若干名が入社した」(東急広報)。23年にはまずJR東や京王が開始し、さらに4月に名古屋鉄道、7月にJR西日本、9月に南海電鉄、10月にJR九州や東京メトロと相次ぎ、急速に広がった。東武鉄道は現在行っていないが「前向きに検討している」という。

直近では東京モノレール(東京都港区)が元社員を対象としたカムバック採用と、最終選考に合格して他社に入社した人を対象としたシンクバック採用の申し込みを11月から始めると公表した。

これまでも転職した元社員の再入社はが全くなかったとは言い切れないが、元社員の採用活動に個別の名称を付けたのは大きな変化だ。人材の流動性が乏しかった日本では、転職したら戻りづらい印象がある。名称を付けることで離職者に門戸を開いていることを訴求できる。JR九州のハッピーターン採用といった名称もある。

新卒採用や中途採用の重要性は変わらないが、再入社は他の採用と異なる特徴もある。自社の仕事や文化を既に知っており、即戦力となりやすい。加えて「現在所属する社員のエンゲージメント向上にもつながっている」と京王電鉄の山岸真也取締役常務執行役員は話す。再入社は離職者に「良い会社」と思われた結果であり、現職の社員への間接的なアピールになる。同社は2月の開始以降、すでに4人が再入社したという。

鉄道業界はコロナ禍で人の移動が減少して業績が落ち込み、人材の採用数を絞った。現在は回復させているが、従来多くの人材を採用してきた学校との関係性が弱くなった企業もある。一方、人々の生活スタイルが変化する中、インフラの維持に加え、事業変革を推進できる人材の確保が急務となっている。

人材の流動性が増す中、企業の採用やエンゲージメント向上策なども変わっていかなければならない。

日刊工業新聞 2023年10月26日

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