作業時間5分の1…光通信網の電柱不要に、NTTが路面溝に敷設可能なケーブル開発
NTTは通信ケーブルを通す地下パイプや電柱を介さずに、路面の溝に敷設可能な光ファイバーケーブルを開発した。路面上でも容易にケーブル同士を接続できるコネクターを用いることで、大規模な掘削や建柱工事をせずに光ファイバー網を構築できる。従来比で作業時間を5分の1程度に削減できることから、自動運転用インフラや、より多くの基地局設置が必要な次世代通信網の整備などでの活用を見込む。
NTTは光ファイバーケーブルの外径を従来比3分の2の6ミリメートルに縮小し、道路などのアスファルト舗装に形成した深さ約3センチメートルの溝に通す技術を開発した。溝は、道路工事に使うアスファルトやコンクリート用の型を用いて形成する。この溝の中に光ファイバーケーブルを埋めて光回線網を構築する。これにより、道路脇の街路灯などに設置した第5世代通信(5G)用アンテナへ容易に光ファイバーケーブルを通せる。
敷設できるケーブルは、40本の光ファイバーを1本のケーブルにまとめた40心と、同じく24本の24心を用意した。また、住宅などへの引き込み用として使うドロップ光ファイバーは1心と8心の二つ。コネクターには光ファイバーケーブル同士を一括で接続でき、防水性を持つ「一括接続コネクタ」を用いる。
NTTは全国の光ファイバー網を運用する傘下のNTT東日本、NTT西日本に今回の研究成果を提供済み。NTT東西は今後、実証実験を経て早期の実用化を目指す。
自動運転や5G・第6世代通信(6G)基地局の整備を推進するには、既設の光回線インフラが整備されていない地域にも光ファイバー網をきめ細やかに構築する必要がある。電柱の設置や地下約1メートルに通す地下パイプを構築する場合は道路掘削工事を行うため、油圧ショベルなどの大型重機が必要だった。今回開発したケーブルを用いればコンクリートカッターのみの使用となり、大型重機は不要となる。