非鉄8社中5社が当期増益、金属価格下回るも円安寄与
非鉄金属大手8社の2024年3月期連結決算が14日に出そろい、5社が当期増益となった。中国など各国の経済成長が減速する中で、需要減少への懸念が拡大。このため金を除く金属の平均価格は前期を下回ったものの、為替水準が円安基調で推移したことなどが利益に影響した。
三菱マテリアルは銅鉱山からの受取配当金が増加したことや、UBE三菱セメントの持分法損益の改善などが寄与。当期利益は前期比46・5%増の297億円となった。JX金属もIT需要の鈍化による半導体材料や情報通信材料の在庫調整があったが、円安による為替評価益などを受け当期増益となった。
一方、DOWAホールディングス(HD)は自動車関連の受注増や太陽光パネル向け銀粉の販売が伸びたことで当期増益に。住友金属鉱山も車載用電池材料の販売が伸びて増収となったものの、銅やニッケル価格の下落、さらに為替差益が縮小したことから大幅な減益となった。
25年3月期連結業績予想は、公表を見送った東邦亜鉛を除く7社のうち5社が当期減益を見込む。JX金属は出資鉱山の減産や銅事業子会社のパンパシフィック・カッパー(PPC、東京都港区)の株式譲渡による利益剥落などを受けて、当期利益を前期比57・8%減の420億円と予測する。
これに対し、増収当期増益と見通す三菱マテリアルは「自動車や半導体市場の回復を見込み、関連製品の販売増を想定している」(小野直樹社長)とする。
日刊工業新聞 2024年5月15日