「太陽光パネル」大量廃棄時代に備える。三立機械が脱炭素技術実用化へ
三立機械工業(千葉市稲毛区、中根亮一社長)は、使用済み太陽光パネルから銀を濃縮選別できるプラントを開発する。太陽光パネルを破砕・粉砕し、さらに比重選別することで、銀の含有比率を高めるもの。これにより精錬して銀を抽出する際の二酸化炭素(CO2)発生低減につなげる。社会を挙げてカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に取り組む中、事業を拡大し、さらなる経営の安定化を図る。
使用済み電線から銅を回収するプラントをベースに開発を進める。まず太陽光パネルを直径20ミリメートルに破砕し、次に3ミリメートルに粉砕、これを比重選別する。現在、実証実験を進めており、1時間当たり60キログラムの処理能力があると確認した。
今後、さらに処理能力を高めるなど機能を強化し、3年後をめどに商品化を目指す。価格は消費税抜きで約3000万円を想定している。標準タイプを開発し、これまでの個別対応に加え、さまざまな業界にアプローチしていく。
三立機械工業は使用済み電線のリサイクル装置が主力で、国内シェアは70%あるという。だが、使用済み電線のリサイクル装置だけでは成長の余地が小さいことから、剥離解体と比重選別を中心とする技術を活用して事業を拡大する。
これまでにもラジエーターを銅とアルミニウムに比重選別する装置などを開発した実績がある。今後も使用済み電線以外のリサイクル装置を積極的に開発し、金属を総合的にリサイクルできる装置メーカーを目指す。
太陽光パネルの製品寿命を20年間とすると、廃棄量はピークとなる2030年代中ごろに年間80万トン程度になる。この廃棄される太陽光パネルを敷き詰めると東京ドーム約1700個分の広さになる見通しだ。同社は大量廃棄に備え、技術の蓄積を進めていく。
日刊工業新聞 2024年04月19日