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特損200億円…三洋化成、SAP撤退の背景

特損200億円…三洋化成、SAP撤退の背景

三洋化成の中国SAP生産拠点、現地化学メーカーへの売却を検討

三洋化成工業は25日、紙おむつなどに使われる高吸水性樹脂(SAP)事業から撤退すると発表した。日本やマレーシア生産子会社でのSAP生産を2024年度中に停止し、解散するほか、中国にある同社最大のSAP生産子会社を現地化学メーカーへ売却する検討を始めた。事業撤退に伴い24年3月期からの複数年で、総額約200億円の特別損失を計上する見込み。同事業は17年度ごろから断続的に赤字が発生しており、構造改革を進めていた。

三洋化成でSAP事業を統括するSDPグローバルが24年度中に生産を停止し、順次解散する計画。それに先立ち、マレーシア子会社が24年3月末までに生産を停止し、順次解散する。また中国生産子会社である三大雅精細化学品(南通)が保有する株式の全持分を、中国でホルムアルデヒドを手がける南通江天化学に売却する検討を開始。24年度中の売却を目指す。加えて、中国にあるウレタン樹脂製品などの生産子会社も生産を停止、解散する。

三洋化成は1978年に世界で初めてSAPの商業生産を開始。主力事業の一つとして成長したが、近年は中国勢の台頭などにより需要が悪化していた。

日刊工業新聞 2024年03月26日

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