TBMが韓国財閥から135億円調達。日本のスタートアップが“脱プラ技術”で世界市場へ
TBM(東京都中央区、山崎敦義社長)は、韓国3位の財閥であるSKグループから135億円を調達し、資本業務提携した。2011年設立のTBMにとって過去最大の資金調達となる。両社は技術を持ち寄って石油系プラスチックの代替となる素材を開発し、主に中国市場向けに売り込む。日本の有望なスタートアップの“脱プラ”技術が韓国財閥から評価され、世界市場に進出する。
SKグループが日本に設立した投資法人が135億円を出資し、TBMの第2位の株主となる。TBMは伊藤忠商事や凸版印刷、大日本印刷、三洋化成工業などからも資金を調達し、製造拠点の整備などに活用してきた。SKグループとの提携によって調達額は合計234億円となる。
TBMとSKグループは21年内に合弁企業を韓国国内に設立する。石灰石を主成分としながらも自由な形状に加工できるTBMの技術と、SKグループが製造する生分解性プラを組み合わせた新素材を共同開発する。
生分解性プラは石油系プラと比べてコストが2―5倍高い。両社は低価格に大量供給ができる石灰石を生分解性プラに充填してコストを下げる。規制強化が進む中国では生分解性プラの市場が30年には現状比7倍の1兆円以上に成長すると見込まれており、中国市場をターゲットに用途開発も進める。
TBMの新素材「LIMEX(ライメックス)」は容器や袋、事務用品、紙代替などで実用化されている。石油系プラの過剰使用を見直す“脱プラ”に応える素材として注目され、国内6000社・団体が活用している。SKグループのアジアや北米の販路を使い、海外市場にも供給する。今回の提携は、日本のスタートアップが海外企業から評価されて飛躍する先進事例となりそうだ。
SKグループは石油精製などを展開する財閥。脱炭素の潮流からESG(環境・社会・企業統治)を重視しており再生可能エネルギー事業も拡大している。石灰石は枯渇の恐れがなく、ライメックスは製造エネルギーも少ないため注目していた。