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三菱ケミカルGが次世代通信機器の需要開拓、低誘電・高周波材の特徴

三菱ケミカルGが次世代通信機器の需要開拓、低誘電・高周波材の特徴

三菱ケミカルグループは次世代通信関連需要を開拓する(超低誘電フィルム「ベライト」)

三菱ケミカルグループは2025―26年をめどに、超低誘電フィルム「ベライト」やプリント配線基板用フィルム「ニューイブキ」を実用化する。ベライトは低い伝送損失や透明性などが特徴で、アンテナなどの用途を想定。ニューイブキも電子部品の内蔵基板向けなどに提案する。現在サンプル提供を実施しており、高周波特性に優れ次世代通信に寄与する素材として需要を開拓する。

ベライトはフッ素樹脂レベルの優れた高周波特性に加え、透明性などにも優れる絶縁フィルム。三菱ケミカルのオレフィン系材料を組み合わせて開発した。通信線路上を流れる電気信号や光信号の劣化度合いを示す伝送損失の低減に寄与する。

銅箔やガラスなどへの密着性が強く、加工性や耐熱性、難燃性に優れるタイプなども用意する。電子機器に使われるフラットケーブルや、ビルの窓に貼り付ける透明アンテナ向けなどを想定する。

一方、ニューイブキはスーパーエンジニアリングプラスチックを活用。主に配線基板用絶縁材料に使用され、高温時の優れた高周波特性などが強みだ。

ボンディングシートなどはエポキシ樹脂などを使っており、硬化を防ぐために冷蔵保管する必要があったが、ニューイブキは常温で保管できる。リサイクル性も高いため、環境負荷低減に寄与するとみる。

三菱ケミカルグループは、機能化学品を手がけるスペシャリティマテリアルズ領域の強化に力を入れている。エレクトロニクス関連は特に注力する分野であり、両製品を第5世代通信(5G)だけでなく6G関連などにも訴求。新たな需要を開拓する意向だ。一連の高速通信関連材料製品の事業展開も加速させたい考えだ。


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日刊工業新聞 2024年02月06日

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