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3社が下方修正…総合化学5社、「石化」想定以上の需要減で大幅悪化

総合化学5社の2024年3月期連結業績予想が7日までに出そろい、3社が下方修正した。住友化学は当期赤字予想が大幅に悪化する。石油化学関連事業の想定以上の需要減などが響いた格好だ。一方、各社は堅調な推移や回復基調を見せる事業もある。各社は事業環境の変化に対応するため、石化関連を中心に構造改革を加速させる考えだ。

※自社調べ

住友化学はサウジアラビア石化合弁会社のペトロ・ラービグの業績悪化に加え、医薬品部門の不振がのしかかる。23年4―12月期の当期損益は1097億円の赤字となった。旭化成三井化学も石化関連の需要減などの影響を受け、通期の下方修正につながった。

一方、各社は好調な推移や回復基調を示す部門もある。三菱ケミカルグループは産業ガス部門やヘルスケア部門が堅調なほか、コスト構造改革などで23年4―12月期の石化事業はコア営業黒字となった。東ソーは交易条件の改善などで23年4―12月期のクロル・アルカリ事業で営業利益24億円を確保した。

住友化学も24年3月期通期で、情報電子化学やエネルギー・機能材料、健康・農業関連事業でのコア営業黒字を見込む。

それだけにより重要性が増すのは石化関連の対策だ。「構造改善を加速したい」(旭化成の堀江俊保代表取締役常務執行役員)、「アジアで需給の厳しさが続く中で構造改善の効果を出し、見通しに沿った一手を打たないといけない」(三井化学の中島一代表取締役専務執行役員)との声が並ぶ。

各社は構造改革を進める方針。住友化学は石化を担うエッセンシャルケミカルズ関連を主とした構造改革費用で24年1―3月期に912億円を積み増す見込みだ。


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日刊工業新聞 2024年02月08日

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