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「スマホ充電、水さえあればOK」で注目。非常用マグネシウム空気電池の仕組み

藤倉コンポジットが開発
「スマホ充電、水さえあればOK」で注目。非常用マグネシウム空気電池の仕組み

非常用マグネシウム空気電池「ワットサット」

災害時に連絡や情報収集の“命綱”となるスマートフォン。その電源をどう確保するか―。藤倉コンポジットは水を用意するだけで充電できる非常用マグネシウム空気電池「WattSatt(ワットサット)」を開発し、注目を集めている。

ワットサットはA4サイズの棚に収納できる。ケース内側のラインまで水を入れ、付属の塩を溶かして本体に注ぐだけですぐに使える。USB端子は5ポートあり、最大出力電流はそれぞれ1・0アンペア。スマホ5台を同時に充電できる。

電池容量は280ワット時で、電池容量1500ミリアンペア時程度のスマホ30台をフル充電可能。価格はオープンで、累積の生産台数は1万台以上という。岩槻工場(さいたま市岩槻区)で重要機能部品を生産し、ベトナムの工場で組み立てている。

マグネシウム空気電池は、電解液の塩水を入れることで負極のマグネシウムと正極から取り込んだ空気中の酸素を反応させ、発電する仕組み。電解液を入れなければ反応が進まないため、長期間の保存が可能でメンテナンスも不要だ。電解液に使う水は雨水や海水のほか、入浴剤を入れていない風呂の残り湯でも問題ない。

現在は「問い合わせや見積もり案件が激増している」(藤倉コンポジット)状況。実際に導入したユーザーからは「水のみで発電できる製品は貴重」「手頃なサイズで収納しやすい」といった声が寄せられている。

日刊工業新聞 2024年03月11日

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