藤倉コンポジット社長・森田健司氏/摺動装置部品を共同開発
虎視 勝ち筋探る車部品#20
―自動車業界で電動化が加速しています。
「売上高の6割弱を占める工業用品事業の中で自動車分野と住宅設備分野がある。自動車ではエンジン周りの部品を多く手がけている。電気自動車(EV)化が進むと特に流体制御の部品がなくなる懸念がある。しかしハイブリッド車(HV)では内燃機関が残るし、ガソリン車も全てなくなるわけではない。そういう点から当社にEV化の影響が出てくるのは2026年以降だと見ている」
―対応策は。
「EV化に合わせて摺動装置の部品などを自動車メーカーと共同開発している。こういった取り組みを広げることで、ゴム製品ではない部品も手がけられる可能性はある」
―半導体製造装置向け部品については。
「シリンダーやレギュレーターといった半導体製造装置向け部品は大きな受注がある。22年も半導体市場のピーク(活況)は続くと考える。過去は波があったが、最近は毎年好調だ。継続的な利益の柱になっていく」
―新規事業は。
「医療用品では逆止弁などを手がけている。原町工場(福島県南相馬市)に新設したクリーンルームも今後3年ほどでフル稼働になる。その後は国内生産だとコストがかかる。中国やベトナムの子会社にもクリーンルームを設けて医療用品を量産化したい。製品化したマグネシウム空気電池も非常用だが、今後のさらなる展開が期待できる」
【記者の目/他社との連携 巧拙カギに】
EV化が加速しているとはいえ、当面はガソリン車やHVの需要が続く。ただ研究開発では、今からEV向けの種まきが必要。限りある経営資源でエンジン車からEV向けまで、より効率的な開発が求められる。森田健司社長が強調する「自動車メーカーと共同開発」の巧拙が、部品メーカーの競争力を左右する要因になってくる。(日下宗大)
日刊工業新聞2022年3月17日