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イオン伝導度は16倍、東工大がデュアルイオン伝導体開発

イオン伝導度は16倍、東工大がデュアルイオン伝導体開発

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東京工業大学の作田祐一大学院生と八島正知教授らは、酸素イオンとプロトンの両方が流れるデュアルイオン伝導体を開発した。イオン伝導度は既知物質の16倍に向上した。燃料電池に用いると水素ガスを供給する燃料電極と酸素電極の両方で反応が起こり、電流が流れる。伝導イオンを制御したセンサーや触媒、燃料電池などに提案していく。

バリウム・ニオブ・モリブデン酸化物の元素組成を調整して新物質を合成した。ニオブの一部をモリブデンで置き換えて伝導性を高める。ニオブとモリブデンが3・8対1・2の組成が、最も伝導度が高くなる。同4対1の既知物質と比べて16倍に向上した。

結晶内部ではニオブ・モリブデン・酸素のユニットが2量体を作って酸素イオンを運ぶ。2量体のペアが次々に組み替えられ、2量体の間にある酸素が玉突き的に移動していく。プロトンは結晶中の六方最密充填層を伝播(でんぱ)していた。これらを第一原理分子動力学計算で確かめた。

新物質は希土類や鉛を含まないため資源リスクや安全性の問題を緩和できる。焼結温度は1100度Cと低く、燃料電池製造に向く。燃料電池の固体電解質に採用すると、燃料電極で発生する水を抑制できる。従来は水分で水素ガスが薄まる課題があった。

今後、酸素イオンとプロトンの伝導度をそれぞれ制御する手法を研究する。元素組成や使用温度によって伝導性が変わるため、センサーや触媒などへの応用を探索する。企業との共同研究として量産技術の開発を始めた。産学連携で用途開発を広げたい考えだ。

日刊工業新聞 2024年03月07日

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