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平均は週20時間…「スマホ利用」が5年で6割も増えた要因

平均は週20時間…「スマホ利用」が5年で6割も増えた要因

端末性能や通信速度の向上などがスマホ利用時間の増加要因になっている(イメージ)

スマートフォンの利用時間が増え続けている。MM総研(東京都港区、関口和一所長)によると、1月時点における1週間の平均利用時間は1215分(約20時間)と、約5年で6割ほど増加した。端末の性能やデータ通信速度の向上などに伴い、動画やゲームをスマホで長時間楽しむ消費者は多い。他方、平均通話時間は減少傾向にある。海外では通話無制限の料金プランが普及しており、国内の通信事業者がそうした動きをとるかが注目される。

1時間当たりのスマホ利用時間

利用ブランド別のスマホ利用時間は、NTTドコモKDDIといった移動体通信事業者(MNO)4社のメーンブランドが週平均1280分。23年7月時点では同1216分と20時間を突破していたが、さらに伸びた。

他方、MNOが展開するサブブランドである「UQモバイル」や「ワイモバイル」の利用時間は24年1月時点で同1128分。23年7月の1163分から減少した。データ通信の利用量が中程度または少ない人がサブブランドを選び、大容量データ通信を長時間使いたい消費者はMNOのメーンブランドを選ぶ傾向が強まっているとも言えそうだ。

月間の平均データ利用量は24年1月時点で11・08ギガバイト(ギガは10億)と、23年7月時点比で0・75ギガバイト増加した。ただ中央値は3ギガバイトであり、「(利用量の)二極化が進行している」(MM総研)。

スマホ利用時間増加の要因は、高速大容量通信の普及だ。MM総研の調査では、23年の第5世代通信(5G)スマホの出荷台数は2603万台で、スマホ全体の99・0%を占めた。イード(東京都中野区)によると22年12月時点で5G平均通信速度はドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社で1秒当たり100メガビット超(メガは100万)となるなど、大容量通信が必要な動画やゲームをスマホで楽しめる環境は既に整備されている。

携帯各社が中・大容量の料金プランを整備したことも利用時間の増加につながっているとみられる。月間データ量20ギガバイトを2970円(消費税込み)で利用できるドコモの料金プラン「ahamo(アハモ)」の契約数は23年6月に500万契約を突破した。

一方、スマホによる通話時間は減少傾向にある。MM総研によると、23年7月時点でインターネット・プロトコル(IP)電話・アプリケーション通話の平均利用時間は18・9分。一方、IP電話やアプリ通話を除く音声通話の平均利用時間は15・4分だった。「LINE」などの対話アプリの普及以外に、携帯通信プランの多くが音声通信で30秒当たり22円(同)の従量課金制を採用していることも一因とされる。

アハモでは通話1回5分まで無料だが、欧米や韓国の主要携帯通信プランの多くが音声通話無制限を採用している。MM総研は「通話無制限を一般化しても携帯大手の減益は軽微になるのではないか。通話料金の価格改定や無制限化によるテコ入れにも期待したい」と指摘している。

日刊工業新聞 2024年3月5日

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