技術革新で身近に…「ロボット」今年のトレンド5項目
幅広い業務に解決策創出
国際ロボット連盟(IFR)は2024年のロボットに関するトレンドとして5項目を選んだ。学習済みのデータから幅広いコンテンツを生み出せる生成人工知能(AI)や、安全柵不要で人と同じ空間で作業できる協働ロボットなどを挙げた。IFRは技術革新が自動化設備であるロボットを、人にとってさらに身近な存在に昇華させると分析する。(増重直樹)
トレンドに選出した項目は、「AIと機械学習」「新たな用途に広がる協働ロボット」「移動式マニピュレーター」「デジタルツイン」「ヒューマノイドロボット」。IFRのマリーナ・ビル会長(ABB幹部)は、「24年の五つのトレンドは幅広い業務に対応するインテリジェンスなソリューションが生まれることを示す」との見解を示す。
例えば「AIと機械学習」では、自然言語で動作プログラムを作成できるインターフェースを開発できれば、作業者のスキルに関係なくプログラム変更などを行える可能性を指摘する。
事実、23年11―12月に東京都内で開かれたロボット見本市「2023国際ロボット展」では、米オープンAIの生成AI「ChatGPT」を活用したロボットプログラムの生成デモなどが披露され、メーカーによる研究・開発が急ピッチで進んでいることを印象付けた。
「協働ロボット」については、単純な反復作業や重労働から作業者を解放するツールとして紹介した。市場動向として協働ロボットを利用した溶接作業が増えていることを踏まえ、人手不足を解消する手段として用途や需要が拡大すると見通す。
協働ロボットのパイオニアであるデンマークのユニバーサルロボットの山根剛日本支社代表は、「人手不足の逼迫(ひっぱく)感が高まる中、協働ロボットは必ず自動化を実現する一つの選択肢になる」と述べる。一層の普及に向けては、中小企業における活用事例の紹介やロボットに関する教育機会の提供がカギを握るとの向きもある。