トンネル補修のCO2排出実質ゼロ以下に、大林組が新材料
大林組はトンネルの覆工や護岸などの補修に用いる裏込め注入工法「スペースパック工法」で、二酸化炭素(CO2)の吸収量が製造過程の排出量を上回る「カーボンネガティブ」タイプの可塑性注入材を開発した。今後、トンネル以外の護岸・堤防・高架橋の基礎などへの応用を見据えて新開発の注入材を積極的に提案し、安全・安心な補修・修繕工事の推進を目指す。
同社は可塑性を持つ注入材を充てんすることで、老朽化に伴ってトンネル構造物に生じる背面空洞をふさぎ、耐久性・安定性の向上を実現する「スペースパック工法」を2001年に開発。またコンクリートにCO2を吸収、固定化した炭酸カルシウムを主成分とする粉体を混ぜ合わせてカーボンネガティブを実現する「クリーンクリートN」を22年に開発した。
今回、スペースパック工法でクリーンクリートNの技術を使い、CO2排出量を実質ゼロ以下にできる可塑性注入材を開発した。標準型の可塑性注入材にCO2を吸収し固定化した炭酸カルシウムを主成分とする粉体を混合し、標準型注入材と比べて製造時のCO2排出量を最大約130%削減。従来と同様の強度や施工性も確保している。
日刊工業新聞 2024年02月20日