過去最大2450億円の赤字…業績悪化の住友化学、構造改革急ぐ
住友化学は大幅な業績悪化を受け、構造改革を加速する。2024年3月期連結業績の当期損益(国際会計基準)は石油化学を担うエッセンシャルケミカルズ部門と医薬品部門の悪化が響き、過去最大2450億円の赤字(前期は69億円の黒字)になる見通し。従来予想から1500億円悪化する。一方で構造改革費用の計上や事業再構築など改善策は進む。4月に組織の見直しを含めた構造改革の概要を示す予定。25年3月期の業績V字回復につなげたい考えだ。
「最大の経営課題で抜本的構造改革の本丸の2テーマ。できるだけ早期に方向性を定めるべく取り組む」。岩田圭一社長はこう力を込めた。
業績悪化の大きな要因はサウジアラビアの石化合弁会社であるペトロ・ラービグ、上場子会社の住友ファーマだ。ペトロ・ラービグは石化需要の低迷やプラントの不具合による稼働率低下などが響く。住友ファーマは主力の統合失調症薬が米国で特許切れになり、前立腺がん治療薬など3基幹製品も伸び悩む。また3基幹製品などの減損テストを実施予定で、赤字がさらに膨らむ可能性がある。
住友化学は24年3月期では構造改革費用などで計1400億円の計上を見込む。
ペトロ・ラービグは合弁相手のサウジアラムコと「業績悪化要因の共通認識を持ち、両社で何が出来るかの話になってきた」(岩田社長)と説明。中長期的な視点での改善に取り組む構え。住友ファーマも収益に見合った販売や研究開発の体制などを検討する。
一方で、構造改革費用の計上などで岩田社長は「できるだけ膿を出し、25年3月期のV字回復につなげたい」と強調。業績改善策では25年3月期末までにキャッシュ創出目標約5000億円に対し、事業の再構築などで3500億円以上の創出は確実とした。
今後の構造改革について、岩田社長は「議論も一段とスピードを上げており、(4月には)もう少し詳しく説明したい」との意向を示した。