三菱自「エクスパンダー」HV・三菱ふそう「EVトラック」…電動車、アジア投入相次ぐ
三菱自動車はタイで、クロスオーバー多目的車(MPV)「エクスパンダー」と「エクスパンダークロス」のハイブリッド車(HV)モデルを世界で初めて設定し、発売した。プラグインハイブリッド車(PHV)から派生した新開発のHVシステムを採用。任意で電気自動車(EV)走行を選択できる。タイの生産・販売子会社であるミツビシ・モーターズ・タイランドのレムチャバン工場(チョンブリー県)で生産する。
販売目標は非公表。エクスパンダーは2017年にインドネシアで発売し、東南アジア諸国連合(ASEAN)、中南米、中東などに展開している。19年には最上位モデルのエクスパンダークロスを投入。シリーズの22年度世界販売台数はピックアップトラック「トライトン」、スポーツ多目的車(SUV)「アウトランダー」に次ぐ13万台以上で、同社3位の世界戦略車となっている。
新開発のHVシステムは、排気量1・6リットルの新しいガソリンエンジンにジェネレーターと出力85キロワットのモーターを組み合わせ、専用の駆動用バッテリーを採用した。システムはEV、HV、回生モードで構成。発進、低速、登坂、加速、高速といった状況に合わせて最適な走行モードを選択する。
タイでは中国勢のEVが販売を伸ばしている。三菱自は電動車の投入により、足元で落としている販売シェアの挽回を図る。
三菱ふそうトラック・バス、香港でEVトラック 環境・交通安全に寄与
三菱ふそうトラック・バスは香港で電気自動車(EV)小型トラックを発売した。日本を除くアジアで初の導入となる。香港は自動車排ガス規制「ユーロ6」対応をトラックに課し、2050年にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目指すなど環境対応が進む。先進運転支援機能も備えた車両の供給を通じ、人口密集地帯である香港で運転手と周囲の交通参加者双方の安全に寄与する点を訴求する。販売価格や目標は非公表。
香港で発売したEV小型トラック「eキャンター」は、川崎製作所(川崎市中原区)で生産し現地で架装する。車両総重量(GVW)5―8・55トンの3車種、7型式を展開する。安全面では左折時の巻き込み事故防止につながる機能や、運転手の状態をカメラで認識することで居眠り運転などの予防に貢献する機能を搭載した。
香港政府が商用EVなどの普及に向け整備した総額11億香港ドル(約200億円)の補助金制度の対象車両に、eキャンターも加わる見込み。eキャンターは24年内に台湾、インドネシア、シンガポールでの発売を予定する。
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