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日本メーカーの電子部品世界出荷額、過去最長12カ月連続前年割れの要因

電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめた日本メーカーによる10月の電子部品世界出荷額は、前年同月比2%減の3924億円となった。マイナスは12カ月連続。2014年の統計開始以来、過去最長(15年12月―16年11月)に並んだ。中国の景気後退で産業機械向けの需要が低調に推移し、中華系スマートフォン向けの回復も道半ば。為替の円安効果でマイナス幅は9月(同5%減)より縮小したが、実需の停滞を補い切れなかった。

品目別で見ると、回路や部品を接続するコネクターは同16%減の520億円だった。中国の景気減速を背景に現地企業の設備投資意欲が鈍化。産業機械向けが振るわなかった。温度や圧力を検知して電気信号などに変換するセンサーが同2%減の209億円だったのも同じ要因とみられる。

一方、スマホや自動車などの中で電気を一時的に蓄えたり放出したりして回路のノイズを除去し、電圧を安定させるコンデンサーは同2%増の1298億円で、12カ月ぶりに前年実績を上回った。ただドル換算では約2%減。中華系スマホメーカーによる部品の在庫削減は7月までにほぼ一巡し、電子部品メーカーには実需に見合った発注が入り始めたが、実需の回復が想定以上に進んでいない。

今般のスマホ市場の回復をけん引しているのが新興国向けのミドル機種やローエンド機種で、ハイエンド機種に比べ1台当たりの積層セラミックコンデンサー(MLCC)の搭載数が少ないことや、汎用品のMLCCが中心のため、中国や台湾の競合との価格競争が起きやすくなっていることが背景にあるとみられる。

日刊工業新聞 2023年12月26日

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