「足元の業績は厳しいが」…半導体関連の電子材料で成長、旭化成が30年めど1000億円投資
静岡に新工場、来年12月までに稼働
旭化成は21日、マテリアル領域説明会を開き、電子材料などのデジタルソリューションを重点成長事業として注力する方針を示した。2030年に向けて1000億円規模の投資を計画する。感光性絶縁材料の新工場を静岡県富士市の拠点に建設するほか、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤や、プリント基板用絶縁材ガラスクロスなどでの需要拡大を見込む。半導体市場の成長に向けて最適な材料を提案する。
「足元の業績は厳しいが、長期視点も意識しながら旭化成ならではの価値を提供する」。工藤幸四郎社長はこう意気込む。マテリアル領域での事業ポートフォリオ転換や持続的な成長に向けて、力を入れる一つが、電子部品と電子材料を併せ持つ強みを生かしたデジタルソリューション事業だ。
半導体チップなどの表面を保護する感光性絶縁材料「パイメル」では生産体制を拡充する。富士市の拠点で新工場を建設し、24年12月までに稼働する計画。投資額は品証棟を含め150億円以上で、生産能力は従来と比べて倍増を見込む。
エポキシ樹脂用潜在性硬化剤「ノバキュア」は、次世代半導体パッケージ市場の拡大による需要を取り込む。プリント基板用絶縁材ガラスクロスは高速通信サーバー関連での需要に対応する。
また電池用セパレーターや水素関連も戦略的に事業育成に取り組む。イオン交換膜法食塩電解プロセスなど高付加価値事業を含め、マテリアル領域の成長を狙う。
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日刊工業新聞 2023年12月22日