5社中4社が当期益予想を下方修正…低迷する総合化学メーカー、回復のカギは?
総合化学5社の2024年3月期連結業績予想が8日までに出そろい、4社が売上高と当期利益を下方修正した。主に中国経済の停滞などで石油化学関連製品の需要低迷が響いた格好だ。一方で、下期(10月―24年3月)にかけて石化関連の需要回復を見る向きもある。住友化学が抜本的な構造改革に取り組むなど、市況に左右されない事業構造に見直す動きも出てきた。
通期見通しで住友化学、旭化成、三井化学、東ソーの4社が売上高と当期利益を下方修正。特に住友化学はサウジアラビア石化合弁会社のペトロ・ラービグの業績低迷などで、950億円の当期赤字に転落する。一方、三菱ケミカルグループは売上高を下方修正したものの、当期利益は上方修正。石化関連のマイナス影響を受けたが、コスト構造改革を下支えに子会社の売却益などが寄与する。中平優子最高財務責任者(CFO)は「かなりの努力に取り組んでいる」と吐露する。
石化需要減の背景としてあるのが、中国経済の不動産不況などによる停滞だ。例えば、素材を供給しアジア地域で製品にして中国に輸出されるケースがある。それだけに「中国での消費が滞ると、アジアの市況が下がる」(三井化学の中島一代表取締役専務執行役員)と、日本に廉価品が流れるなど汎用品を中心にマイナス影響を受ける。
こうした現状を受け、市況に左右されない事業構造の構築や、体質強化の重要性が増している。住友化学は抜本的な構造改革に着手した。事業再構築などで約5000億円のキャッシュフローを創出するほか、京葉地区を念頭にエチレンプラントの共同運営の可能性なども模索する。旭化成も生産性向上に取り組み、年約200億円のコスト削減を目指す。
今後については東ソーが上期(4―9月)が底で徐々に回復していくとみる。構造改革と併せて需要動向も回復のカギを握る。
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