生成AI活用拡大する、旭化成がDX戦略で新デジタル基盤整備
旭化成は7日、デジタル変革(DX)に関する戦略説明会を開き、生成人工知能(AI)の活用を拡大する方針を示した。2024年1月から社内データと生成AIをひも付ける新たなデジタル基盤を整備し、従業員が業務において、より使いやすくできるようにする。社内のDX人材育成プログラムでは生成AIコースを開始し、業務の質向上や効率化を推し進める。
旭化成は生成AIについて、外部への情報漏えい対策を施した安全な環境下でのウェブ公開情報を基にした回答に加えて、社内データ連携による特許作成など専門性の高い業務に利用できるようにしている。ただ社内データの活用には専門チームの対応が必要となるため、より手軽に使えるデジタル基盤体制を整える考えだ。オンラインでのチャットを通じた生成AIのコミュニティーで交流を活発化しており、積極的な生成AIの活用も促す。
人材育成面では、全従業員を対象とした育成プログラム「DXオープンバッジ」で生成AIコースを開講。生成AIプログラミングを含む実習コースも展開する。生成AIでの社内データと組み合わせた活用方法なども教育する。工藤幸四郎社長は「今後のビジネスは未来を予測することから始まる。生成AIはそのためのツールの一つとして活用していきたい」と語った。
旭化成は中期経営計画で24年度に高度なデジタル人材を21年度比10倍の2500人に増やす目標を掲げるなどDX戦略を加速する。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の活用などでも成果を上げている。久世和資取締役専務執行役員は「全員参加型で現場主導、共創を起点に進める」と述べた。
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日刊工業新聞 2023年12月08日