ニュースイッチ

EVシフトにらむ旭化成…「エンプラ発泡体」増産、年1500トンに

EVシフトにらむ旭化成…「エンプラ発泡体」増産、年1500トンに

旭化成はサンフォースの増産に乗り出す(セルホルダーなどに使われる、成形したサンフォース)

旭化成は電気自動車(EV)向けの需要増を見据え、エンジニアリングプラスチックの発泡体材料「サンフォース」の増産に乗り出す。2023年度内に鈴鹿製造所(三重県鈴鹿市)の生産能力を従来に比べて数倍となる年1500トン程度に増強する計画だ。難燃性や緩衝性などの特徴があり、リチウムイオン電池(LiB)の周辺部品として需要が高まっている。世界的なEVシフトをにらみ、市場開拓を急ぐ。

サンフォースはポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂を主な基材とする難燃性・断熱性などに優れたエンプラを使用した製品。難燃性など安全面が重視される車載LiB関連のバスバーカバーやセルホルダー向けなどの需要増が期待されている。中国や欧米でEVの普及が本格化する中、サンフォースの生産体制を整備して需要を取り込む考えだ。

基本的にはビーズでの供給だが、成形時のコンピューター利用解析(CAE)などで顧客への技術支援にも力を入れていく。中長期的にはEV化が進む欧州などでの環境規制や需要推移を見据え、生産体制の最適化も含めて対応する必要があるという。

サンフォースは材料の燃えにくさの規格である米国の「UL94規格」で高グレードの「V―0」の認証を取得している。また内部に気泡構造を持つ発泡体のため、軽量であることも特徴だ。旭化成の樹脂技術に加え、緩衝材として使われる発泡ポリエチレン(PE)「サンテックフォーム」の知見などを生かして開発した。

同社幹部は「ポテンシャルのある素材であり、今後グローバルで拡大していきたい。サステナブルな観点においても重要な素材だ」と語る。


【関連記事】 日本が誇る総合素材メーカーはどこまで世界と戦えるか
日刊工業新聞 2023年12月14日

編集部のおすすめ