トラック標準運賃を8%引き上げ、24年問題で国交省が提言
国土交通省はトラック事業者が荷主に対し適正運賃を求め交渉する際の参考指標となる「標準的運賃」を、平均8%引き上げることが好ましいとの提言を公表した。2024年4月からトラック運転手の時間外労働が960時間に規制される24年問題対策の一つとして、8月に標準的運賃と標準運送約款の見直しに向けた有識者による検討会を立ち上げ議論してきた。荷主などへの適正な価格転嫁に加え、多重下請け構造の是正や多様な運賃・料金の設定を提言する。
荷主への適正な転嫁では約8%の運賃引き上げに加え原価のうち燃料費分を100円から120円に変更、燃料費が高騰した際のサーチャージの基準価格は軽油1リットル当たり120円に設定した。
運送業者の負担増となっている荷待ちなどについて公共工事設計労務単価表を参考に対価の水準を提示、中型車30分当たりの待機時間料を1760円、積み込み料は機械荷役で2180円とし、これら荷待ち・荷役の合計時間が2時間を超えた場合は5割加算とした。またトラック業界は多重下請け構造があることから、標準的な運賃は実際の運送事業者が得るべき金額とし、下請け手数料として運賃の10%を示した。
これらに加え積載率が向上し荷主負担も減る共同輸送を念頭に、貨物一つごとに算定する個建て運賃の設定や速達運送の割り増しなど、運賃制度の柔軟性を要求した。また、荷主、運送事業者双方に運賃や料金を記載した電子書面の交付を求める。
標準的運賃制度は運賃交渉の参考指標として20年4月に設けた。実態調査では21年度に標準的運賃を得られた運送事業者は11%だったが、22年度には15%に改善した。22年度の運賃交渉で希望額を収受できた割合は30%、一部収受できたが33%と同制度の成果が徐々に現れている。
日刊工業新聞 2023年12月19日