東京製鉄が5年半ぶり輸送運賃引き上げ、物流「2024年問題」で1トン当たり1000円強
東京製鉄は物流の2024年問題に対応し、11月から鋼材輸送のトラック運賃について往復の高速道路料金などを含め1トン当たり平均1000円強引き上げる。23年度下期では16億―17億円程度のアップ。また長距離輸送を中・短距離輸送にシフトすべく、中継地を21年度比6割増の38カ所に増やし、今後さらに増強する。群馬県や新潟県に新たに設けたほか、従来ある茨城県や宮城県の中継地は製品置き場を拡張し在庫量を増やしていく。
物流24年問題では残業の上限規制やトラック待機時間の削減などに迫られ、現状の対応ではモノが運べなくなる可能性がある。東京製鉄は他の鉄鋼大手のように傘下運輸会社を持たないためドライバー確保で危機感が大きく、23年半ばから数十の運輸会社に状況をヒアリングしていた。
各社との交渉の結果、国土交通省が策定した「標準的な運賃」を参考にしながら平均トン1000円強の引き上げを決めた。同社がトラック運賃を改定するのは約5年半ぶり。
東京製鉄は宇都宮市、愛知県田原市、岡山県倉敷市、北九州市若松区に工場を持ち、それぞれの拠点から顧客先に鋼材製品を届けている。これまでの長距離輸送は中継地を増強することで中・短距離輸送へシフトし、運転手の確保、業務の効率化が進むとみている。
中継地は21年度時点で24カ所あった。これまでに京浜、東海、関西地区などで14カ所増やした。中継地の既存の製品置き場も今後、物流状況を見ながら拡張を進める考えだ。
日刊工業新聞 2023年10月31日