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キヤノンが燃えにくく高強度のPET再生プラスチック開発

キヤノンが燃えにくく高強度のPET再生プラスチック開発

PET製再生プラで試作した複合機の外装

キヤノンは燃えにくく、強度も高めた再生プラスチックを開発した。ポリエチレンテレフタレート(PET)製の廃プラスチックに添加剤を混ぜて再生し、オフィス複合機の外装に採用できるポリカーボネート(PC)並みの性能を確保した。汎用的なPETを再生によって高付加価値化できるため、実用化できるとプラスチック資源の循環利用量を拡大できる。

複合機の外装には、難燃性や機械強度を確保するためPCにアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)を複合したエンジニアリングプラスチックが多く使われている。キヤノンが開発した再生プラはPET由来でありながら、PCベースと同等の難燃性と強度を持たせた。

添加剤によって再生プラの機能を高める手法はあるが、難燃性が上がると強度が低下するなど両立が難しかった。同社は配合を調整して難燃性、強度とも向上させる条件を見いだした。コストや機能、成形性を検証して実用化を検討する。

強度や衝撃への強さが求められる用途に使われるPCと違い、PETは幅広い製品に使われていて廃プラも集めやすい。機種によるが複合機には内部や外装に合計30キログラムのプラが搭載されており、開発した再生プラを実用化できると再生材の搭載量を増やせる。

同社はプリンター事業で再生材の採用や部品の再利用による資源循環に取り組む。2030年には資源循環率を22年比34ポイント上昇の50%に引き上げる計画だ。PET製の再生プラは、10月20日まで開催した自社展「Canon EXPO」で公開した。

日刊工業新聞 2023年11月01日

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