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水素車関連がけん引…ゼロエミ車向けECU市場、40年めど10.9兆円に

富士キメラ総研(東京都中央区、田中一志社長)がまとめたゼロエミッション(排出ゼロ)車向け電子制御ユニット(ECU)とECU構成デバイスの世界市場調査によると、2040年の同ECU市場は22年比7・5倍の10兆9017億円に伸びる見通しだ。環境規制が強まる中、自動車各社がゼロエミッション車の比率を高めることによる。これに伴い、構成デバイス市場は同19・0倍の31兆3213億円を見込む。30年以降に拡大が予想される水素自動車関連がけん引する。

ゼロエミッション車向けECUの世界市場

調査対象のゼロエミッション車は電気自動車(EV)、水素エンジン車、燃料電池車(FCV)。トラック・バスを含み、ECU12品目、構成デバイス22品目の市場を分析した。

ECU市場では水素充填ECUが40年に22年比300・0倍の1500億円、インバーターや非接触充電用受電ユニットなどの電動システムが同8・2倍の7兆6175億円となる見込み。水素充填ECUは水素エンジン車やFCVの生産台数と連動する市場で「巡回エリアが比較的定まっているバスやトラックなどを中心に普及が進み市場が拡大する」と調査結果は指摘する。

ECU構成デバイス市場でも、40年に向けて水素自動車関連の伸びが目立ち、同423・7倍の21兆7364億円と予測する。特に水素と酸素が水に変化する過程で発生する電気をFCVに供給するモジュールの構成要素である「燃料電池電解質膜」は、同217・7倍の5224億円に拡大する見込み。

超広帯域無線(UWB)、近距離無線通信「ブルートゥース・ロー・エナジー(BLE)」などの無線センサーネットワーク技術市場は同28・4倍の1930億円を見通す。キーレスエントリーシステムの採用増加で搭載される無線チップ需要が拡大し、今後も安定した市場拡大を予想する。

日刊工業新聞 2023年12月12日

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