EV市場を取り込め、パナソニック系が900億円で関連部品を相次ぎ増産
パナソニックインダストリーは2024年度までに約900億円を投じ、電動車(xEV)向け部品を国内外で相次ぎ増産する。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)関連を注力分野に定め、同社が世界シェア4割を握るEVリレーの生産数量を24年度に21年度比2・8倍に高める。フィルムコンデンサー、ハイブリッドコンデンサーなども市場成長に合わせ増産を計画。優位性のある製品に的を絞った先行投資で、拡大する市場を取り込む。
増産するのは世界的に需要が拡大している電気自動車(EV)などのxEV向け電子部品。インバーター部への採用で同社が世界シェアトップのフィルムコンデンサーは富山県砺波市のマザー工場が手狭となり、松江市、中国・江門市、スロバキアの各工場を増強する。バッテリーの遮断装置として採用が進むEVリレーは、北海道帯広市の工場に加え中国・深圳市、スロバキアでの増産を決めた。
自動運転システムなど向けの電子制御ユニット(ECU)に使われるハイブリッドコンデンサーについても「足りない状況が続いている」(坂本真治社長)として、山口市の工場を増強する。
調査会社の富士経済(東京都中央区)によると、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、EVの世界新車販売台数(乗用車)は、35年に21年比7・6倍の7970万台になる。
パナソニックインダストリーは「汎用電子部品業界の年平均成長率は3―4%しか見込めない。CASEなど業界平均以上に伸びる領域に絞り大きくしていく」(坂本社長)方針だ。
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日刊工業新聞 2022年12月21日