田植え・草刈りなど商品化相次ぐが…農業にロボット導入のネック
サブスク・レンタル 導入コスト削減、普及のカギ
農村の深刻な高齢化と人手不足を背景に、農業ロボットへの期待が高まっている。これを受けてロボット関連メーカーでは、自律走行型のロボットトラクターや田植え機、農薬散布の飛行ロボット(ドローン)、草刈りロボットなどの商品化が相次ぐ。一方で農業は季節性や地域性、作物による生育法の違いなど、さまざまな導入ネックがある。普及にはレンタルやサブスクリプション(定額制)の活用などのビジネスプラン構築が求められそうだ。(編集委員・嶋田歩)
ロボットトラクターや農薬散布ドローンは、井関農機やNTT e―Droneテクノロジー(埼玉県朝霞市)などが製造・販売しており、北海道や新潟県で導入が始まっている。ただ利用は大手農家や農業法人に限られるのが実情だ。理由は価格の高さにある。人工知能(AI)や超音波センサー、赤外線レーザーセンサー、カメラなどはどれも高価格で、農業収入を考えると一般農家は手が出ない。田植機などは年間の稼働日数が限られるため、コストを押し上げている事情もある。
一方で農業者の平均年齢は68歳を超え、事業持続のためにはロボットの活用は必須となっている。頼みとした外国人労働力は円安の影響でコスト面でのメリットが落ちており、募集しても必要人数が集まらないという。
ロボット導入の壁となる価格について、あるロボット業界関係者は「センサーやカメラを入れるとどうしても高額になるので、価格を引き下げたくても限度がある」と嘆く。
そうした課題に対して、サブスクリプションサービスが解決策の一つになり得る。また、レンタル会社を経由して九州から北陸、東北と時期ごとにレンタルロボットを循環利用し、稼働日数を増やして実質コストを引き下げる方法も考えられる。
ロボットの収穫物をピーマンからキュウリに展開したAGRIST(宮崎県新富町)、ネギ用農薬散布ロボットをブロッコリー用に応用するレグミン(埼玉県深谷市)のように、同一設計で利用可能作物を増やすメーカー努力も重要だ。またレグミンでは「全国各地の畑の実証などを通じて使い勝手やコスト削減の努力を続けている」(担当者)という。