中国受注調整続く…工作機械、減少長引く
製品拡充、新たな需要開拓
2023年の中国工作機械市場は受注の調整局面が続く1年だった。景気の先行き不透明感から設備投資の様子見が続き、需要のけん引役を探る展開に終始した。工作機械各社は製品拡充やサプライチェーン(供給網)の組み替えへの対応など対策に乗り出している。
日本工作機械工業会(日工会)がまとめた中国向け受注額は前年同月比で10月まで10カ月連続で減少。電気自動車(EV)投資などに支えられ2年連続で過去最高を更新した22年から調整局面が続く。工作機械メーカー幹部は中国ユーザーについて、「工場の平均稼働率が数カ月前まで5割程度で悪かったが、足元は7―8割まで回復した。9割以上に上がれば受注につながるが、その前の段階まで来た」と話す。
中国市場の見通しについて日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は、「自動車向けはEV関連の投資が続くが、過剰な生産能力に対する淘汰も進むのではないか」と見る。家城淳日工会副会長(オークマ社長)は「24年の春節明けに総合インフラ関係で一般機械向けなどの受注の流れが出てくるかがカギになる」と注視する。
不透明な市況の中、ツガミは横型マシニングセンター(MC)の投入を決断。同社幹部は「横型MCは過去に手がけており、主力の旋盤以外の需要を取り込みたい」とした。ニデックマシンツール(滋賀県栗東市)はホブ盤の現地生産を開始。工具を含めたワンストップ供給体制を整備し、EV向けなどの歯車需要に対応する。
一方、米中貿易摩擦の長期化で中国から生産を移す動きも進む。生産移管先として需要が拡大するメキシコでは、ソディックが倉庫を確保して放電加工機の即納体制を構築。牧野フライス製作所は24年に同国で2拠点目となる販売・サービス拠点を新設する。日工会の家城副会長は「日本の工作機械各社はバランスを見ながら中国でビジネスを進めている」と指摘。中国市場で収益の依存度を含め情勢を見ながら距離感を探る展開が続きそうだ。
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